さて前回は、『アメリカ編』にて、ラスベガスに招待して頂いたのですが、まだ海外で美容室を開く気持ちは全くありませんでした。

前回の『ラスベガス編』の内容はこちらから↓

前回の『台湾編』の内容はこちらから↓

さて、台湾とアメリカ、自分では想像してはいませんでしたが、同時進行で少しづつ進んでいきます。

台湾に行き始めてから1年と少し、台北美容室【世紀】での講習も、継続して続けていました。

今回は、台北にて『プチ美容室』をしていたころの、ちょっとしたエピソードを紹介していきます。

海外で美容室を開くまで/ 台北美容室に行ったら、定休日で店が閉まっていた…

一つ目として、ちょこちょこあった、連絡がうまく伝わらないことでのトラブルの一例…(;’∀’)

当時台湾の【世紀美容室】を借りる際には、事前に連絡役をお願いしていた、日本語ペラペラのTさんから、

世紀美容室のオーナー【リャオさん】へ連絡を入れてもらっていた。

前に伝えたように、台湾では日本で言う、『ホウレンソウ（報告・連絡・相談）』といった文化があまりないようで、

また徐々に分かってきたのだが、【リャオさん】に関しては、特にこの『ホウレンソウ』が少なく、
この日も、それによって問題が発生することとなる…

その時は台湾に到着後、すぐに予約を受けていたので、

日本から台北の空港に到着し、その後、荷物をいつもの安宿においてから、すぐに【世紀美容室】へと向かった。

いつもの店に到着すると、

（ん？あれ？）

（なんか電気がついてない？？）

入り口のドアを開けてみると、かろうじて、ドアのカギは開いていた。

借りていた店舗は地下に社員寮があり、そこに、各店のメンズスタッフが数名が住んでいた。

そのスタッフの中の1人が一階の店舗のソファーで寝ていた。

すぐに状況を察する。

（こ、これは………うん。俺が今日来ること……伝わってないな……(;’∀’)）

その日は月曜日で、『世紀美容室』のグループは全店が休みなのは知っていたが、

いつも定休日でも店を開けてくれる上に、アシスタントまで貸してくれていた。

今回も、通訳のTさんから、「その日大丈夫だって！」と連絡をもらっていたので、安心しきっていたのだが、

リャオさん、店舗スタッフに伝え忘れていたようだ……(*’▽’)

とりあえず30分後くらいには、最初のお客様が来てしまうので、

気持ちよく寝ている彼には申し訳なかったが、急いで起こし、まだ中国語の話せなかった僕は、

ゼスチャーや、簡単な英語で、アシスタントをしてくれないか？と彼に頼み、

まだ完全に寝ぼけている彼だったが、どうやらまずはオーナーの【リャオさん】に電話で確認してくれて、

その後、状況がようやくわかったようで、快くOKしてくれた。

休みの日に気持ちよく寝ていたら、急に起こされ、その後すぐに手伝いをしてくれるなんて…

このような台湾人の『心意気』に、当時何度も助けられていた。

ちなみに、ここの【世紀美容室】も、もう一店舗借りていた【京崎美容室】でも、手が空いているスタッフは皆手伝ってくれていて、

アシスタントが手が空いていなかったり、お客さんが多く重なってしまった時には、スタイリストの子たちでさえ、ヘルプをしてくれていた。

こんな感じが台湾の方なのかな？と当時思っていたのだが、必ずしもそうではないことは、その後お店をオープンしてしばらくしてから、ようやく知ることとなる。

いずれにしても、ちょこちょこトラブルや失敗はあったものの、

当時の2店舗の素敵なスタッフさん達や、髪を切りに来てくれる台湾のお客様によって、僕は支えられ、それによって継続して台湾へ行くことが出来ていた。

海外で美容室を開くまで/ アシスタントが急にいなくなった日…

【世紀美容室】では、台南にある店舗から、毎回バスで台北までわざわざヘルプに来てくれる【ジナ】という子がいて、

実に2年ほどの間、外せない用事がある時以外は、いつも何時間もかけて、ヘルプに来てくれていた。

初回に美容室を借りた際、たまたま僕が借りている店舗に来ていて、その時今後も勉強したいという理由で、アシスタントをするために、その後もヘルプに通いたい。ということになっていた。

言葉は通じなかったが、何度も来てくれていたので、ある程度お互い仕事にも慣れていて、とりわけ彼女の仕事は丁寧であり、僕も信頼していた。

とある日、その日も【ジナ】は台南からヘルプに来てくれていて、

その日は、お客様の到着が遅れたり、進行が少し遅れた部分があって、夕方位には4名ほどお客様が重なる時間があった。

また、月曜日で店舗の定休日であったため、ヘルプをしてくれていたのは【ジナ】一人であった。

ただ、彼女がアシスタントをしてくれていたため、僕も特に不安はなかった。

そうはいっても、なるべくお待たせしないように、丁寧に急いでやっていると

ジナが寄ってきて、何か伝えてきた。

中国語でよくわからなかったのだが、その時間たまたま、連絡役のTさんが髪を切りに来ていて、

通訳してもらうと

Tさん「なんか、彼女今日誕生日みたい。」

僕「おー！そうなの？！ジナおめでとう！！！」

と伝えると、また何か話してきて、

Tさん「お店のスタッフがお祝いしてくれるみたいで、今からごはん食べに行ってくるって…ごめんねって……」

僕「………………………………………………… 」

僕「今からって、今からだよね？？？」

Tさん「そうみたい…………」

(今から誕生日会… 今から誕生日会… 今から誕生日会… 今から誕生日会… 今から誕生日会…( ﾟДﾟ)…オーマイガ……………）

Tさんも、ただただ苦笑いするしかなく、それをほかのお客様にも伝えていた。

僕としては、それでも何とかやる。という気持ちでしかないが、お客様からしたら、不安でしかなかったであろう……

いずれにしても、僕に選択権はなく、彼女はわざわざ台南からヘルプに来てくれていて、何度お金を支払うといっても、絶対に受け取らなく、

要は無償で来てくれていたのだ。

僕「うん、気にしないで！楽しんできて！」

Tさん「だ、大丈夫なの？」

僕「え、あ、えーと、うん。大丈夫……」

彼女が去った後、お客様達は一様に何とも言えない空気感となっていたが、その空気感には気づかないフリをして、急いで施術していく…

以前働いていた日本の【TAYAグループ】のとある銀座の店舗は、当時結構忙しく、とりわけ当時の先輩たちは圧倒的に忙しかったため、

その時スタイリストになったばかりの僕は、アシスタントが回ってこないこともあり、瞬間的に同じように複数のお客様を、一人で回すようなことがあったため、何とかなるだろう。と思っていた。

というか、何とかするしかなかった……

幸いその時のお客様は、日本へ留学している時から知っている子や、その友人だったので、怒ってなかったかどうかは、わからないが、待ち時間には皆でトークしてくれていて、一応無事終了した。

さてジナは、2年ほど手伝いに通ってくれた後、『世紀美容室』が中国に進出するという話があり、

その時に中国に派遣されるということで、その後は来れなくなってしまった。

最後に手伝ってもらった日は、夕方から外部の講習会に参加するということで、彼女は営業途中でその会場に向かうことになったのだが、

その際僕もたまたま時間が空き、また、宿へ忘れ物を取りに行く必要があったため、

ちょうど、道の途中に講習会場があるようだったので、タクシーでジナを送った。

2年もの間手伝ってもらって、涙の別れをイメージしていたのだが、

講習会場に到着するとジナは、「じゃあね、バイバイ」みたいな、いつもの挨拶だけ残して去っていった。

拍子抜けして苦笑いしていた僕を、タクシーから降りた後、一切振り返らなかった彼女は知らないことだろう…( ;∀;)

ちなみに、10代かと思っていたジナだが、実際の年齢こそ知らないが、台北に子供を連れてきたこともあり、すでに結婚して子供がいたのには、めちゃくちゃ驚いた。

前に出産後バリバリ働いていた日本のお客様が、

出産後は、仕事にやる気が出なくなるか、出産前よりもっと仕事をしたくなるか。の2パターンに分かれる。と言っていたが、

彼女は間違えなく後者の方で、子供がいながら最終的に中国にまで行くなんて、とてもパワーのある子であった。

ちなみに今は台湾に戻ってきていて、台南で夫婦で美容室をやっている。

さて、台湾では旧正月が採用されていて、1月が一番忙しくなる。

台北美容室での講習も、ロング～ショート、メンズまで一通り終わったところで、

その次に行く予定だったのは、2009年1月くらいで、講習が一度お休みとなることになった。

資料つくり等が、一度なくなったため、少し時間が出来たタイミングで、色々考えた際、

なぜだかは、全く覚えていないが、急にラスベガスのカズさんが言っていた、『アメリカで美容室』がふと頭に出てきた。

その頃は、思い立ったら即行動を心がけていたので、それも手伝ってか、

2009年に一度目の『ラスベガス美容室オープン』にトライすることとなる。

その内容はまた次回。

まとめ

実は、スタイリストを始めたころは、アシスタントにとっては結構厳しい存在だったと思います。

いわゆる『お客様は神様』という教えを受けて、自分のアシスタント時代を過ごしていたため、

それをメインに考え、スタッフのことを全く考えていなかったわけではありませんが、

とにかく『お客様に喜んでもらう』ことだけを考えていたので、

そのために自分の技術を磨き、より良いものを提供できるように、アシスタントに求める要求も高く、

また、注意するときは感情のまま伝えていたので、時にはアシスタントに『嫌な思いをさせてしまう』こともあったかもしれません。

元の性格自体は変わらないので、注意した後はある程度『フォロー』をしていたとは思いますが、

相手にそれがちゃんと伝わっていたのかは、わかりません(-_-;)

特に台湾に行き始めてからは、美容の施術において、もちろん『すべてが自分の責任』であり、

台湾のアシスタントは、自分のお店のスタッフではないので、『どのようにやって欲しい』『もう少しこうしてくれると良い』といった内容は伝えていましたが、

一番に考えたのは、『どうやったら、気持ちよく手伝ってくれるか？』『どうやったらポテンシャルをしっかり発揮してくれるか？』という、ある意味当たり前のことでした。

誰しも、目の前に怒っている人がいて、その勢いで注意されれば、仮にちゃんとその内容を理解したとしても、

【萎縮】したり、なかには【反発】するような子もいるかと思います。

最終的にそれによって、【成長する】部分もあると思うので、それが良い悪いは置いておいて、

いずれにしても、そのような【複雑な感情】では、アシスタントはその目の前のお客様に対して、自分の持っている力を発揮できない可能性もあります。

美容師側にとっては、毎日来てくれるお客様達であっても、お客様にとっては『数か月に一度の特別な日』であって、

美容師の『気持ちのムラ』や、『技術のムラ』は絶対に避けなければなりません。

そんな内容は以前にも伝えられたことはありましたが、それをしっかりと【意識】でき始めたのは、この頃からだったのかもしれません。

時にはアシスタントに厳しく伝える必要のある内容もありましたが、現場では、ミスをカバーしつつ、そのアシスタントが『気持ちよく仕事ができるような空気感を作る』。

ということを意識するようになり、その頃から、アシスタントへの接し方も変わってきたように思います。

また、特に言葉がしっかりと通じなかった台湾では、『より分かりやすく伝えないといけない』。

ということも考え始めました。

ただただ、「誰よりも美容が上手くなりたい！」とだけ思っていた自分が、

台湾出張によって、『他のスタッフのことを考えながら仕事をする』ようになっていったように感じます。

いろいろな失敗を重ね、まだまだ【経営】に関してはわからない部分も多いですが、

失敗から人間的にはとても成長できていると感じています。

ふとしたタイミングで、たまたま担当した『台湾人の留学生』から始まった台湾とのご縁は、

本当にありがたいもので、今後も大事な部分を忘れないようにやっていきます。

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